【彩雲国物語より、それと…?】
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劉輝「久々に娑婆(しゃば)に出たな!…出…たのに、人がおらんな……。
みんな四角い白い小さな布で顔を隠して歩いているぞ。この国の民族衣装か!?」
絳攸「……民族…というか全地球人共通装束になるかもな…。宇宙に行くとき宇宙服必須みたいな…。
宇宙人が今UFOから降りてきてファーストコンタクトしてきても、近寄れるかどうかわからんな、地球人……」
楸瑛「布で女性の顔が見えない…おっときれいなお嬢さん、大根落としましたよ。
楸瑛「布で女性の顔が見えない…おっときれいなお嬢さん、大根落としましたよ。
って、近づいたら後ずさりされて逃げられましたよ、この私が!!女性に逃げられるなんて!」
燕青「なんか、静かだな。…笑い声もしねー気が……。
ん?『人と一緒にいて、大声で笑ってはいけません。歌ってはいけません。長くおしゃべりしてもいけません』ってちらしが!戦時中か強制占領下かよ」
静蘭「そういえば作者が『……世にマスクもトンと見当たらないが笑い声もなくなってしまったような……。
燕青「なんか、静かだな。…笑い声もしねー気が……。
ん?『人と一緒にいて、大声で笑ってはいけません。歌ってはいけません。長くおしゃべりしてもいけません』ってちらしが!戦時中か強制占領下かよ」
静蘭「そういえば作者が『……世にマスクもトンと見当たらないが笑い声もなくなってしまったような……。
眠らせていた笑いをよみがえらせるかなぁ…』とぼやいていたな」
楸瑛「……眠らせてたかい?」
絳攸「わりとちょいちょい漏れてただろ……、どの本でも…。
『永遠の夏をあとに』のネットインタビューで、東京創元社の担当が『雪乃さんの持ち味は美しい風景描写~』などと言ってくれてたが、笑いの部分は完全に黙殺してた」
燕青「………そら、『切ない物語』って新刊に銘打ったからには、『雪乃サンの持ち味は愉快なとこですよね』とはいえねーだろ担当編集も…………」
静蘭「どっちも、うふふ、おほほと触れなかったのは、政治家対応というやつだな」
(*雪乃担当より「『キャラ同士の生き生きした掛け合いが魅力的で~』というところで笑いについてふれました!」とのこと。確かに(笑)。礼儀正しくソッとオブラートに包んで書いてくださいました)
劉輝「待て。聞き捨てならぬな。『笑いをよみがえらせる』とはなんだ。
余たちは『お笑い要員』ではないぞ!色男五人衆というやつだ!」
燕青「なんか、『永遠の夏をあとに』書き上げたとき、作者と担当で『今までで5本の指に入るいい男かもねぇ拓人…小6だけど』『同感です』って会話があったってよ」
劉輝「なにぃ!」
楸瑛「新入りがランキング5位に食い込んできただって!?」
劉輝「すでに余たちの誰かが蹴落とされてるではないか!誰だ!?余ではないぞ!
『お茶目で天然、100馬身引き離されようが最後に猛追をかける、決めるときは決める、ネバネバねばってギブアップ!ナイス王(キング)』それが余だ」
燕青「最後結局ギブアップすんの!?」
楸瑛「私でもありませんよ!『狙った獲物は(本命以外)百発必中、狙っておらずとも勝手に撃墜(本命以外)、粋に流した浮名は数知れず、愛を求めて愛にさまよう当代の光源氏』それが私です!」
絳攸「この腐れ頭め、お前が残って俺が落ちることだけは絶対ないぞ!」
静蘭「……、色男、金と力はなかりけり、といいますし。
『お嬢様を陰ながら見守る』薄幸の家人ポジションは鉄板ですからね」
(『誰のことだ』と全員つっこみたいがいえない…)
劉輝「そのにゅーふぇいすを偵察せねばならぬな、王直々に!」
遠くで聞いていた蘇芳(脇に金のタヌキを置いている)
「……もう、ここだけで、あいつらひっぱりだしてきた甲斐はあったかも……。
燕青は5位以内に残るかもだけど、あいつら、本編最終巻までですでに転落してるかもって思いもしねぇあの鋼の心はどっからくんの!?」
レナート(隻眼隻腕義足、顔はつぎはぎだらけ)
「うちの13歳の仮面の皇子殿下も、5位に入ってきてもおかしくないと思うよ~。
あ、警官に職務質問されてる…」
劉輝「『すてほーむ』ってなんの呪文だ!んん?余の職業か?王だ。おーう!
自宅仕事はできんのかだと?24時間自宅仕事だ!官吏らに仕事仕事仕事と…もう家にいるのは耐えがたい。
今日は仕事休みで気晴らしにみんなで遊びに……すごく怒られた!
違う!家でゴロゴロして奥さん怒らせて叩き出されてパチンコにいくわけではない!」
楸瑛「離れろといってますよ。分断して各個撃破狙いとは、彼らは孫子の兵法を会得しているものと見えます!侮れませんね!」
蘇芳「……ああ、銃刀法違反でパトカーきちゃった……。げっ、燕青、店先にならべてる弁当を勝手に食って怒られてる!ありゃ味見用じゃなくてテイクアウト用の商品だっつーの!」
レナート「絳攸さんだけ逆方向にとんずらして小路に入って慌てて王様と藍将軍がひっかえして追っかけてってる…わずか五歩で『ここはどこだー』って、迷子の叫び声が」
静かになる。
蘇芳「…………(言葉もない)。…あのさ、あんた、その体、どうしたの?」
レナート「戦場に落っことしてきたんですよ。俺の国は何十年も戦争してるから。俺は傭兵で、体の部品半分戦場でなくして、頭もぽんこつになって、すっかりいかれてる。
楸瑛「……眠らせてたかい?」
絳攸「わりとちょいちょい漏れてただろ……、どの本でも…。
『永遠の夏をあとに』のネットインタビューで、東京創元社の担当が『雪乃さんの持ち味は美しい風景描写~』などと言ってくれてたが、笑いの部分は完全に黙殺してた」
燕青「………そら、『切ない物語』って新刊に銘打ったからには、『雪乃サンの持ち味は愉快なとこですよね』とはいえねーだろ担当編集も…………」
静蘭「どっちも、うふふ、おほほと触れなかったのは、政治家対応というやつだな」
(*雪乃担当より「『キャラ同士の生き生きした掛け合いが魅力的で~』というところで笑いについてふれました!」とのこと。確かに(笑)。礼儀正しくソッとオブラートに包んで書いてくださいました)
劉輝「待て。聞き捨てならぬな。『笑いをよみがえらせる』とはなんだ。
余たちは『お笑い要員』ではないぞ!色男五人衆というやつだ!」
燕青「なんか、『永遠の夏をあとに』書き上げたとき、作者と担当で『今までで5本の指に入るいい男かもねぇ拓人…小6だけど』『同感です』って会話があったってよ」
劉輝「なにぃ!」
楸瑛「新入りがランキング5位に食い込んできただって!?」
劉輝「すでに余たちの誰かが蹴落とされてるではないか!誰だ!?余ではないぞ!
『お茶目で天然、100馬身引き離されようが最後に猛追をかける、決めるときは決める、ネバネバねばってギブアップ!ナイス王(キング)』それが余だ」
燕青「最後結局ギブアップすんの!?」
楸瑛「私でもありませんよ!『狙った獲物は(本命以外)百発必中、狙っておらずとも勝手に撃墜(本命以外)、粋に流した浮名は数知れず、愛を求めて愛にさまよう当代の光源氏』それが私です!」
絳攸「この腐れ頭め、お前が残って俺が落ちることだけは絶対ないぞ!」
静蘭「……、色男、金と力はなかりけり、といいますし。
『お嬢様を陰ながら見守る』薄幸の家人ポジションは鉄板ですからね」
(『誰のことだ』と全員つっこみたいがいえない…)
劉輝「そのにゅーふぇいすを偵察せねばならぬな、王直々に!」
遠くで聞いていた蘇芳(脇に金のタヌキを置いている)
「……もう、ここだけで、あいつらひっぱりだしてきた甲斐はあったかも……。
燕青は5位以内に残るかもだけど、あいつら、本編最終巻までですでに転落してるかもって思いもしねぇあの鋼の心はどっからくんの!?」
レナート(隻眼隻腕義足、顔はつぎはぎだらけ)
「うちの13歳の仮面の皇子殿下も、5位に入ってきてもおかしくないと思うよ~。
あ、警官に職務質問されてる…」
劉輝「『すてほーむ』ってなんの呪文だ!んん?余の職業か?王だ。おーう!
自宅仕事はできんのかだと?24時間自宅仕事だ!官吏らに仕事仕事仕事と…もう家にいるのは耐えがたい。
今日は仕事休みで気晴らしにみんなで遊びに……すごく怒られた!
違う!家でゴロゴロして奥さん怒らせて叩き出されてパチンコにいくわけではない!」
楸瑛「離れろといってますよ。分断して各個撃破狙いとは、彼らは孫子の兵法を会得しているものと見えます!侮れませんね!」
蘇芳「……ああ、銃刀法違反でパトカーきちゃった……。げっ、燕青、店先にならべてる弁当を勝手に食って怒られてる!ありゃ味見用じゃなくてテイクアウト用の商品だっつーの!」
レナート「絳攸さんだけ逆方向にとんずらして小路に入って慌てて王様と藍将軍がひっかえして追っかけてってる…わずか五歩で『ここはどこだー』って、迷子の叫び声が」
静かになる。
蘇芳「…………(言葉もない)。…あのさ、あんた、その体、どうしたの?」
レナート「戦場に落っことしてきたんですよ。俺の国は何十年も戦争してるから。俺は傭兵で、体の部品半分戦場でなくして、頭もぽんこつになって、すっかりいかれてる。
なんにもないけど、姫様がいるから。俺の幸福はちゃんと残ってる」
蘇芳「……姫様と離れても、へーき?」
レナート「へいきじゃないですよ。姫様とずっと会えない時があって、さみしかった。会えた時はすごく嬉しかった。全然へいきじゃなかった。
10歳かそこらで姫様は、毎日いっぱい墓掘りして、毎日死体を埋めてた。毎日毎日。
蘇芳「……姫様と離れても、へーき?」
レナート「へいきじゃないですよ。姫様とずっと会えない時があって、さみしかった。会えた時はすごく嬉しかった。全然へいきじゃなかった。
10歳かそこらで姫様は、毎日いっぱい墓掘りして、毎日死体を埋めてた。毎日毎日。
俺は姫様のためなら戦場で死んでいいんだけど、姫様が泣くと思うと死ねないと思った。
『誰かのために死なないように頑張った』のは、初めてだったかも……」
蘇芳「………」
レナート「でも、ふれあえないのは、さみしいだろうなって思う。
『誰かのために死なないように頑張った』のは、初めてだったかも……」
蘇芳「………」
レナート「でも、ふれあえないのは、さみしいだろうなって思う。
体が半分しかなくて、ツギハギで、頭のいかれてる俺でも、姫様が抱きしめてくれるから、生きてかれる。
さわっちゃいけないといわれたら、死ぬほど悲しいと思う」
蘇芳「そうだよな。簡単になんてできないよな」
レナート「さみしいし切ない。愛してるぶんしょんぼりする。
うちの仮面の皇子様のほうが、わかるかも。好きな人とふれあえずに生きてきた皇子様だから」
蘇芳「俺は…家に閉じ込められて、逃げ場がない苦しさも、すげー気になる」
さわっちゃいけないといわれたら、死ぬほど悲しいと思う」
蘇芳「そうだよな。簡単になんてできないよな」
レナート「さみしいし切ない。愛してるぶんしょんぼりする。
うちの仮面の皇子様のほうが、わかるかも。好きな人とふれあえずに生きてきた皇子様だから」
蘇芳「俺は…家に閉じ込められて、逃げ場がない苦しさも、すげー気になる」
レナート「オレンディア将軍も、それ気にしてた。将軍は閉じ込められるのが嫌いで、自由がないとダメなひとだから。そいや、いってたな。
『心の自由さえあれば、体の自由がなくてもなんとかやっていかれる。でも、逆はないわ』って」
蘇芳「………」
「レナート」と少女の声がする。
「レナート」と少女の声がする。
ミア「レナート、いた。どこに行ったかと心配しました」
レナート「姫様。チョコレート、買ってたんですよ。はい、チョコレートバー。姫様にあげる。この国のお店で買ったよ。店員さんが俺見て卒倒したから、お金置いてもらってきたんだけど。だから、元気出して、笑ってください」
ミアがレナートを抱きしめると、レナートは幸福そうににっこりした。
蘇芳はぽつっとつぶやいた。
蘇芳「あのさ、いい男ランキング5位はあやしいかもだけど、王としては、負けてない、と思う。うちの王様」
レナート「知ってる。生涯ただの一度も戦をしなかった王様だもの。かなわないですよ…」
++++++++
劉輝「静蘭と燕青とはぐれてしまったな。…あ、ちょっとここで待て」
楸瑛「どこ行くんです、我が君」
劉輝、ある店に入って、帰ってくる。
劉輝「お花屋があいていた。この国でも、花は変わらずきれいだ。いっぱい買ってきたぞ。そなたらにもやろう。ほら、花菖蒲」
絳攸「………」
楸瑛「……あなたからこの花をまたいただく日がこようとは、思いませんでした、我が君」
劉輝「余もだ。雨が降りだしそうだな。絳攸、泣くな」
絳攸「泣いていません、雨が落ちてきただけです…我が君」